||Φ|(T|T|)|Φ||    監獄☆日記    ||Φ|(T|T|)|Φ|| -35ページ目

平成16年5月20日(木) 勾留10日目

 本来なら今日が実況検分の日で、AM9:30~と刑事さんにも聞かされていた。but.検事のところへいくという。

 9:30~11:30 座して待つ。 11:30~12:00 検事調べ。 12:00 昼食(片手錠)。 13:00~14:45 座して待つ。 14:45~15:30 検事調べ。 15:30~17:30 座して待つ。

 

 警察調べがある程度進んだら、それを元に検事が検察調書を作る。それが繰り返されることになり、そのための出頭なのだが、各被疑者がバラバラに連れてこられるわけではなくて、管内の警察署を巡回して、数十人がまとめて連れてこられる。だから、必然的に待ち時間が長くなる。

 

 ここにも時計はない。30分で看守が交代するから、何人交代したかでだいたいの時間を推し量ることになる。10人替われば5時間だ。

 約6時間、鉄格子の小部屋のベンチに、手錠のまま座っているだけだ。人権もへったくれもない。

 法律論から言えば、確定判決までは無罪が推定されなければならないのに、だ。

 

 隣の房では中年の被疑者が、「オヤジー! オヤジー!」と看守を呼んでいる。

 警察官や刑務官を親父と呼ぶのは、懲役の経験者だ。

 旭川で逮捕されたときには護送のバスが午前午後の2便あったのに、何でここでは1日1便なのかとわめいている。

 看守も、「それは私たちに言われてもどうにもできない。弁護士に外から言ってもらってくれ」と、困惑顔だ。

 

 しかしまあ、ここにいると、「時間」の意味が分かるような気がする。今までなんと、時間を無駄にしてきたことだろうか。

 私はおそらく、獄中で誕生日を迎えるだろう。思えばここ10年は、ひどい年月だった。

 心機一転、今後10年はよいことだけを考えて生きよう、そんなことを考えた1日だった。


  

 【余白メモ】

 

 おやつ食えず     110(特定商取引法違反)は連日の調べ。

 私はあったりなかったり。あっても短い。

 


 【過去の過ちを振り返って】

 

 日本国憲法上、「公務員による残虐な刑罰は禁止」され、「自己に不利益な唯一の証拠が自白である場合には、証拠採用されない」。

 刑事訴訟法上、供述に先立ち、黙秘権が告知される。


 自供の任意性を確保するための規定だが、実際にそんなことをやっていては、誰も自供しない。

 検事は幅広のひじ掛けイスで、木製の高価そうな机。

 被疑者はパイプ椅子で、スチール机。5日に1度の入浴しかできないボサボサ頭のままだ。

 第一声から、馬鹿だのアホだの人間のクズだのといった罵声が飛ぶ。

 意図的に「立場の差」を作り出し、唯々諾々と従わせるお膳立てがなされる。

 「俺を不機嫌にするとどうなるか分からないぜ」という暗黙の圧力を掛け、「作文」に署名させるわけだ。

  

 警察調べは逆だ。

 飲み物を出してくれたり、唯一の理解者であるかのような雰囲気を醸し出して、自供させる。

 させるというよりは、「刑事さんのために」、話したくなるような感じだ。

 

 かつて警視庁には、平塚八兵衛という名物刑事がいたが、平塚の取調べは暴力による脅しが主体で、殴る蹴るは日常茶飯事、被疑者は「あの刑事だけはやめてくれ!」と懇願したという。

 平塚は、エースと呼ばれてはいたが、捜査はそれほど上手くない。現実に、満を持して平塚が投入された三億円事件は、解決しなかった。

 また、当時の風潮だった暴行・脅迫によって取られた調書は、のちに「任意性に疑いあり」として、数々の無罪判決を生んだ。

 

 そして窮余に立った、現代警察の捜査手法の申し子が、北芝健だ。

 元警視庁刑事、北芝健氏は「利己心を極限まで突き詰めたものが犯罪である」と言う。

 極限の利己心のかたまりである犯罪者が、23日間という時間的な制約の中で、素直に口を割るのはなぜか。実際に刑事の取調べを経験した身からすれば、ああなるほどな、と思うが、素人が説明するのは案外難しい。

 

 北芝氏の著作は、現代日本警察の取調べ手法を知ることについても、またこれからの私の日記を深く楽しんでいただくためにも、最良の書となるだろう。


 何はともあれ、北芝健「落としの技術」をご一読いただくことを勧める。

 警察が「取り調べの可視化」を強硬に拒むその理由も、本書から明らかになるだろう。

       

 

                                                                                                                                                                                              「落とし」の技術―いかにして、相手の本心を見破るか

平成16年5月19日(水) 勾留9日目

 1日1回か2回、署長と副署長が巡視に来る。

 そういうときだけ、看守もはりきって、ドアを開けるときに「だいいちとびら、開錠ウォーーー!!」と大声を張り上げるが、普段は言わないか、言ってもボソッと、「はい、かいじょ」程度だ。

 

 保険金詐欺は朝の便所掃除が好きだ。

 「人が嫌がることをすると徳が積める」からだと言っていたが、今さら何やっても遅いと思う。

 

 調書1本まく。

 この調べ室には、鉄格子のはまった窓がある。

 自転車に乗ったおばさんや、ランドセルの子供たち、洗車をする隣家の人が見える。

 心底うらやましい。

 

 窓の外には低い家並みが連なる。私はこの田舎町に、何の縁もゆかりもない。

 なぜこんなところにいるのかと言えば、被害者がこの町に住んでいるからだ。

 警察署前に車を停められ、私を引っくくってきた誇らしげな刑事たちに挟まれ取調室に通されて、逮捕された後は、外が見えない留置場に直行だった。

 周囲の位置関係がどのようになっているのかもわからないし、まわりがどうなっているのかも、まったくわからない。

 大変なストレスと孤独だ。

 

 これ以上、会社に迷惑を掛けられない。退職願を書いた。

 ○○さん宛てに出した。上手く処理してくれるだろう。

 


 今日の教訓 : 警察も馬鹿ではないということは、捕まったあとに分かる

 

 

【過去の過ちを振り返って】

 

 この教訓は、保険金詐欺が言っていたものだ。

 ガサ入れでかなりの証拠物をもらさず持ち出され、出た感想が「あいつらだって馬鹿じゃないですよ」。

 犯行時から数年が経っており、逮捕時はかなり慌てていたらしく、ハローキティの絵がついた、幼児用の小さい歯ブラシを使っていた(孫のだそうだ)。

 

 

【警察用語】

 

 調書を取ることを、「まく」という。

 供述することは、「うたう」という。

 

 

平成16年5月18日(火) 勾留8日目

 50分ほど調べあり。「この警察署のパソコンを操作して、犯行状況について実演してみせます」という、署長宛ての上申書を書かされた。任意性の担保のために必要な「形」なのだそうだ。

 

 ガサ入れの感想は、「汚い部屋だったなー。掃除したほうがいいよ」だった。

 靴脱いで入ってくれましたか? カーテン・ドア閉めてやってくれましたか? と矢継ぎばやに質問をすると、「当たり前だよ、そんなの」と言っていた。

 

 何を押収したか、それとなく聞いてみたが、言わない。

 私が否認するなら、証拠を小出しにして追い詰めるといったところだろう。

 

 刑事から、14日に兄に渡してもらった手紙の返事を聞かせてもらった。

 「面会にも差し入れにも行きません」、「反省しろ」とのことだった。

 

 頭にきて、手紙を書いた。

 「病院に入院しているのではないことぐらい、自分でも分かっている」、「だから会いたいとも励ましてくれとも言ってないだろ」、「逮捕時の所持金をもってしても購入できないものを、家から持ってきてくれと言ってるんだ」、「必要な物がないことと、俺が反省することは無関係だ」、「冷静に頭を冷やして、もう一度考えてくれ」。

 

 反省反省ってテメーは坊主かこの野郎、と書きそうになったが、かろうじてそれはこらえた。

 今関係をこじれさせたのでは、後々面倒だ。

 

 

 

 【余白メモ】

 

 購入 : 留置場生活での日用品や菓子などを所持金で購入すること。

       上限3万まで。金銭の外部からの差し入れもできる。

 

 

 【過去の過ちを振り返って】

 

 留置場での買い物は、出入り業者からすることになるが、独占価格のため高い。

 警察へのバックマージンが含まれているから、という説(あくまでですが)もある。


 価格(単位:円)   せっけん 150  せっけん箱 200  歯ブラシ 200  歯磨き 250

 タオル 250  シャンプー 500  リンス 500  ミューズ 200  リップクリーム 250

 ニベアクリーム 250  洗顔料 400  洗濯洗剤 300  ノート 200  便箋(縦書き) 200

 便箋(横書き) 250   封筒10枚 100円  切手・ハガキ 定価  ヘアブラシ 250

 ハンドタオル 150  くつした 380  トランクス 580  綿棒 350


 当然ながら、所持金なしという人間もいる(ホームレス等)。

 そういう場合は、留置場備え付けの物品を使うが、シャンプーが切れていたり、せっけんが小さくなっていたり(チン毛がついていたり)して、気持ちが悪い。

 歯磨きは、監視の警察官に、歯ブラシを突き出して1回分つけてもらう。

 みんながタバコを吸っているときに、所在無く立ち尽くすことになる。

 おやつのときにはみじめたらしく、同房者に分けてもらうことになる。

 そんなわけで、金がないとみじめな思いをするのである。

    

 【代用監獄では被疑者はどのような取調べをうけるのですか? 】

 

平成16年5月17日(月) 勾留7日目

 朝飯に納豆とのりが出た。毎週、月曜と木曜の朝は納豆とのりだそうだ。

 冷えたご飯にかけて食う。納豆は普段は食わないが、仕方がない。

 納豆ものりもダメという人間に、ここでは何も食うものがない。

 別房のタイ人は、ごはんだけ食っているという。

 

 今まで好きなときに好きなだけ食っていたが、ここでは決まった時間に決まった量しか出ない。

 当たり前だが、かなりの空腹感だ。心が満たされないという空しさもある。

  

 夕方まで待っていたが、今日、調べはなかった。


 ここへ入って気づいたことがある。それは、「制度は厳密に予定されているのだ」ということだ。


 例えば今までは、裁判所は警察の行き過ぎを防止するためにあるのだと思っていたのだが、現実には裁判所は「捜査機関」として基本的に信頼を置いていて、「請求があれば要件を満たしている限り、それは許可される」というようなことだ。

 これが「制度は厳密に予定されている」ということの意味で、これを体制と呼ぶのならば、反体制的であることは、あまりに難しいだろう。


 夜、保険金詐欺の65がいいことを言った。それを今日の教訓とする。

 

 今日の教訓 : 監獄は入るのは簡単で出るのは難しい

 

 


本当に報道は正確なのか?

 今日私が My clip した記事、「証言女性に非難の手紙届く 暴行の被告、秘匿住所知る」だけれども、検察は「検察側調書の弁護側への開示によって、弁護士を通じて伝わった可能性」を指摘して、記事は「刑事訴訟法上、開示の際、住所を被告に知られないよう配慮を求めることができる」としているけれども、本当だろうか?

 

 起訴状から知った可能性が大きいと、私は思う。

 起訴された後、留置場の本人宛てに裁判所から起訴状が届くが、当然そこには被害者の住所・氏名・年齢・職業等が記載されている。事実関係に証人が記載される場合もあるだろう(申出によりいつでも読める)。

 弁護人は、裁判での情状をよくするために、「被害者と裁判所に謝罪文を書くように」という指示をすることも多い。

 当然、事件関係者に手紙を送る際には、弁護人経由で送ることを前提としているが、別に直送することを制限できる根拠はない。それを逆手に取ったのだろう。

 というか、公判を経るうちに、「逆恨み」の気持ちが高まったのかもしれないし、記事中「偽証」と言っているように、単に「事実と違う」ことを、指摘したかっただけなのかもしれない。

 

 私の日記のエピソードにも、「謝罪文を書くには書いたが、弁護人を通さず被害者に留置場から直送してしまった中国人」が登場する。

 まず、現行制度上「被告人が被害者や事件関係者の個人情報を知ることは可能だ」ということ。

 第2に、「拘置所は手紙の受発信の際には、必ず検閲をする」ということ。

 起訴状を読むことで被害者の個人情報を知ることができて、書いた手紙は当局の検閲をパスした、ということになるのだから、一概に被告のみを悪いとすることは、できないのである。

  

 ところでこの一件では、加害者は証言者に対して、報復をほのめかしてはいない。

 ただ、「偽証は残念だ」ということを書いているだけである。

 それを性急に、報復への恐怖感と結び付けてしまうのは、論理の飛躍というものだろう。

 

 では、被害者が実際に「報復」される可能性はどうだろうか?

 いわゆるお礼参りの可能性は、どんな場合であっても否定できない。

 しかし、強要・脅迫を始め、物理的な危害を加えた場合には、その罪も成立する。

 その場合、裁判での情状は相当に悪いし、次は長期間の服役になる。

 当たり前だが、お礼参りは、加害者も相当の不利益を被る。

 コストとベネフィットの関係で言えば、お礼参りは明らかに割に合わない。

 ひとつには、これがお礼参りへの、大きな抑止力となっていると考えてよい。

 

 次に、矯正教育や保護観察制度などの、周辺環境だ。

 正常な社会復帰への矯正教育は、効果のほどは別にしてなされるし、再犯防止のための制度もある。

 これも単純な報復感情への、抑止力となりうる。 

  

 私にも被害者はいる。

 被害届を出した被害者に対して、畜生め、という気持ちは否定できない。

 しかし反面、「身から出たサビ」「自業自得」という道徳的な気持ちも、当然ながらある。

 

 また勾留中の人間は、自分のことには敏感で、「求刑がどれぐらいになるか」「情状面はどうか」「次の刑期はどれぐらいか」といったことを、驚くほど気にしている。

 刑務所に行くのは嫌だし、犯罪の自覚もあるということだろう。


 こういった事情を考慮すれば、割に合わない結果を予想しながらお礼参りを実行する人間は、犯罪者の中でもごく小数の例外で、これを基準に物事を考えることはできない。

 

 それでなければ、日本中はお礼参りの被害者であふれているはずだ・・・というのが、私の結論である。

 

                                               (この項加筆訂正しました)

平成16年5月16日(日) 勾留6日目

 留置場の朝は7時起床だ。突然蛍光灯が明るくなって、監視の警察官が20人ぐらいドヤドヤと入ってくる。

 その後ふとんをたたみ、1房ずつ出され、留置場の端にあるふとん部屋にしまう。

 ホウキ2本、ちりとり1個、ぞうきん1枚、トイレブラシ・バケツ・ぞうきん1組、を貸し出され、房内の掃除。

 「房内を掃いてゴミを掃き出す」 「畳を拭く」 「トイレ掃除」 「掃き出したゴミを捨てる」に分かれて、掃除をする。房内のゴミは、ほとんどが髪の毛か体毛だ。

 

 壁には、黒いすじがいくつもついている。

 紙で拭くなりすればよいものを、わざわざ壁に指印のインクをなすりつけるからだ。

 

 昨日の夜中に入ってきたのが、117だ。

 空手経験者だというが、酔っ払って内縁の妻に暴行し、顔面陥没骨折、左目失明寸前、肋骨骨折の怪我を負わせたのだという。「俺、酒飲むとダメなんだよなぁ」と、反省しきりだ。

 

 私は酒がほとんど飲めない。

 だから、直接の酒害であるアルコール依存症や、酒にまつわる喧嘩、暴行傷害などとは、なんとか無縁に暮らせるのが幸いである。こういう話を聞くと、さらに思う。


 元ヤクザらしく、両肩にはすじ彫りがあった。

 拘置所で、同房者にリンチを加えた話などをしてくれた。

 すじ彫りを、にーちゃんそりゃぬり絵か? 俺にも塗らせろよ、などと言われて、キレたのだそうだ。

「シャバじゃ真面目なトラックドライバーだったんですから」とは、言ってたけど。

 

 「刑務所はオナニーできるんですかね?」と聞いたのだが、「見つかれば陰部摩擦でパクられて懲罰」なんだそうだ。

 ムショのオナニーの心配してる奴も珍しいよ、と言って、笑った。


 

 

 【なぜ日本の警察は代用監獄の廃止に反対するのでしょうか?】

 

 

 

平成16年5月15日(土) 勾留5日目

 昨日92が出て行ったから、私には初めての3人部屋になった。

 やはりよい。4人ではまったく間隔がなく、気詰まりな状態が持続してしまうのだ。

 夜も同様。ふとんを重ね合って無理やり寝ているわけで、本当にひどい。

 

 明け方ねぼけて、両手で中国人の腕をつかんでしまった。

 びっくりして、飛び起きていた。

 中国人はオーバーステイだ。でもそれで捕まったわけではない。

 無免許運転中のシートベルト検問である。

  

 今日は答練の2日目。切ねえ。

 みんなの顔が、とめどもなく、頭に浮かんで仕方がなかった。

 切ないので、終日寝て過ごした。

  

 今日ガサに入っているはずだ。

 何を持っていかれるのだろうか? 靴は脱いでくれただろうか? ドアとカーテンは閉めてくれただろうか?

 祈るような気持ちになる。

 

 昨日の調べで、「Win mx で音楽ファイルを落としていたんです」、「ネットで拾った児童ポルノも実は持っています」ということは言っておいた。

 刑事は、「じゃあそれも逮捕しなきゃな」と言っていたが、事件にする気はないようだった。


 毎週土曜日は、洗濯をしてくれる。しかもキレイにたたんでくれる。

 乾燥機だと生地が傷むから天日干しにしてくれという奴もいる。

 そういうのは、運動場で物干し竿に干す。

 担当さん(看守)も大変だ。

 

 夜中、入ってきて、またすぐ4人になった。



 【過去の過ちを振り返って】

 

 留置場では、手紙を書ける。

 便箋・切手は購入日に買ったものか、差し入れのもの。

 机はない。四つんばいになって書く。

 受発信時には、検閲がある。

 

 留置場には、日課時限というのがある。毎日の日程のようなものだ。

 

                   日課時限

                    警察庁ホームページより



 タバコが2本吸える運動(朝にあった)、朝晩の洗面、取調べ、面会時以外は、房内にいることになる。

 私がいた警察署は3人房が8房だったが、4人が押し込まれていたため、洗面や運動に途方もなく時間がかかった。

 

 房の中には、柔道用の畳が4枚敷いてある。

 4人入れば、1人1畳だ。

 無用なトラブル回避のため、各人が自分の畳からはみ出ないように、注意して過ごしている。

 むやみに動き回ったり、歩いたりもしない。

 移動するには誰かをまたがなければならないし、歩き回ればペタペタと音がして、無用なトラブルが起きるからだ。

 

 ※ 運動 ・・・・・・ 実際に運動をする人間は少ない。

             歩き回れるほどのスペースもないし、水を入れた洗面器が2個用意され、その周りでタ                

             バコを吸うだけだ。せいぜいその場でのストレッチぐらいか。

             会話は自由。監視の警察官も、警察官同士で思い思いの話をしている。

  


 【被疑者は代用監獄でどのように扱われますか?】


   

 【マメ知識 ・・・ 勾留と拘留はどう違う?】

 

 読みはどちらも、「こうりゅう」。

 大ざっぱに言うと、確定判決前の身柄拘束が「勾留」。

 判決後、刑罰としての身柄拘束が「拘留」である。

 

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平成16年5月14日(金) 勾留4日目

 朝方、16歳女子高生を60発殴った21歳の92番が、出て行った。

 少しずつ金を借り出し、借金漬けにしたあと風俗に売ると、50~70万のバックマージンがあるという。

 一応彼女の扱いで、その「彼女」が「浮気」をしたと、折檻したのだ。

 女子高生は母子家庭で、仕返しを恐れた母親が、検察官に寛大な処分を願い出たそうだ。

 検察庁に行き、不起訴か起訴猶予、要するに釈放(パイ)になるらしい。


 午後、逮捕時の弁録書で頼んでおいた当番弁護士が来た。遅いよ。

 刑事ドラマに出てくるような接見室(弁護士の場合は警察官の立会いなし)で、話すのだが、とても音がこもる。

 手の震えた爺さん弁護士いわく、「インターネットを使った犯罪は検察庁も厳しくやる方針だし、あまりいい事件じゃない。実刑も十分考えられる」とのこと。

 「じゃあじゃあ、帰りますわ」と言って、5分程度で帰っていった。

 当番弁護士制度というのは、突然の逮捕に怯える被疑者を安心させる目的もあったはずだが、一体何しに来たのだろう。

 私は余計不安になった。


 調べ出場するとき、留置管理係長に「○○!」と呼ばれたが聞き流してしまい、「○○、 お前は○○だな?」と言われ、ようやく自分のことだと気がついた。

 111番と呼ばれるのに慣れ、自分が○○○○という個人であることを、忘れつつあった。

 千と千尋になった気分。

 用向き。さっきの当番弁護士に、「△△という法律事務所に連絡を取ってほしい。そこの○○先生は知り合いだが、先日熊本で開業してしまった。だからその事務所のほかの先生を」と頼んだのだが、「××にその名前の弁護士はいない」と、さっきの弁護士から留置管理課に連絡があったのだという。

 だから! その先生は今、熊本にいるんだよ!


 その後調べあり。ケータイを任意提出させられた。

 会社の上司○○さんの電話番号を教えた。

 ついでに送信トレイにあった、好きな女の子に書きかけのメールを、刑事の目を盗んで送信した。

 家のカギも任提(断れる雰囲気ではない。ほとんど押収)。

 兄立会いのもと、明日の土曜日にガサ入れをやるのだという。

 ついでに刑事さんが兄に手紙を渡してくれるというので、兄宛ての手紙を書いた。

 「社労士の受験申し込みを代わりにしてほしい」、「使い捨てコンタクトの替えを差し入れてほしい」、「パンツの替えを持ってきてほしい」。

 


                   sekken

               警察庁ホームページより

                  弁護人と面会中の被留置者(模擬)

 

 

 【過去の過ちを振り返って】

 

 接見室(=面会室)には窓がないので、声がこもる。

 中央の丸窓は、タバコや紙片等のやり取りを防ぐため2枚重ねられていて、穴部分が互い違いに重ねられているため、実際にはふさがれているのと同じだ。

 よく聞き取れないし、すごく疲れる。

 

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 【被疑者は逮捕されてすぐ効果的な弁護をうけられますか?】  

 

 

 女子高生を60発殴るなどというのは、もちろん悪虐非道の行為には違いない。

 でもその女子高生が、派手な服装をして夜の盛り場を遊び歩くような女の子だったら、どうだろう。

 同じことは、「先輩の誘いを断りきれずに、薬物に手を出してしまった男子中学生」というようなことにも言えるだろう。

 その男子中学生が、髪を染めピアスを開け変形ズボンを履き、原チャリを乗り回すような子だったとしたら?

 

 類は確実に友を呼ぶ。

 一見単純だが、案外効果的な第一歩は、まずは「関わりを作らない」ことなのである。

 

 とはいえ、年端も行かない子どもにすべてを望むのは酷だ。

 自分を見失ったり、無性に反発したかったり、不良に憧れたり、家庭環境が不和だったり、いろいろな要因で、道を踏み外すことがあるかもしれない。

 そこで人生を狂わせさせない重要なことが、「大人の目」だと思うのだが、どうだろう。

 

 あまり人のことを言えた義理ではないので、このへんで。

平成17年5月13日(金)

 

 私も、6歳の少女を監禁している。

 ひとけのない神社に1人でいたところを、連れ去ったのだ。

 首輪をつけ、私のことは「ご主人様」と呼ばせている。

 3度逃亡されたが、いずれもすぐ連れ戻した。

 今ではすっかり、逃げ出す気力も失せたようだ。

 これがその写真だ。

 

 

                   nya

 

                           猫ですけどね。

              (不謹慎なことはよく承知しております。どうもすいません)

平成16年5月13日(木) 勾留3日目

 朝食後、○○区検に護送。新検と呼ばれる検事調べ。

 鉄格子の小部屋のベンチ(駅のベンチみたいだ)に7人が座り、腰縄手錠のままで待つ。

 別の警察署にいる隣の奴(MDMA、通称バツ所持らしい)がワキガで、とてもつらかった。

 自分の番が来るまで、ひたすら待つだけだ。

 

 看守の警察官が1人いる。

 30分交代で、我々の世話をして房内に水かお湯を入れたり、トイレの際にはもう1人呼んで房から出す。

 小便は両手錠のまま、大便は片手錠だ。大便の場合は、「水を流しながらやれ」と言われる。トイレの外では、窓に向けて扇風機を回す。房に大便臭が行かないための配慮だ。

 トイレは部屋の中にある。女がトイレに入るときには、我々の房に目隠しカーテンが下ろされる。

 

 私は居眠りをしてワキガに何度か寄りかかってしまい、「うっぜえよ」と言われた。

 ワキガは首周りと腕周りに、派手なタトゥーが入っている。

 もう1人タトゥーがいて、「首やるときが一番辛くて、後で熱が出た」というような話をしている。

 昨日までの私が、まったく聞いたことのない世界だ。

 

 昼は留置場と同じ弁当だ。

 片手の手錠だけが外されるが、腰縄はついたままなので、不自由だ。

 床に座り、ベンチに弁当を置いて食っている。

 

 「○○でいじめられて(本人談、殴られての意味だろう)、交番に行ったらオーバーステイで逆に捕まった」という間抜けなパキスタン人(武蔵丸に似ている)がいて、カラチとラホールの話を少しした(私はパキスタンを一人旅したことがある)。

 

 検事調べのため房から出され、警察官に腰縄を持たれ、検事室に移動。

 途中、廊下の長いすに座っていた、ヤクルトを売りに来たヤクルト奥さんと目が合った。

 うんこでも見るような目をされた。 


 検事調べは逮捕事実に間違いはないかという点のみの、簡単なもの。

 「えー、私がやったことに間違いはありません まる 今は てん 大変反省しております まる」などと検事が言って、そばにいる検察事務官がそれをパタパタとPCに打ち込んでいく。

 プリントアウトされた調書に、署名指印。指印すると、途端に検察官の態度が柔和になる。

 それほどまでに、署名指印は、「本人が認めた」という絶対的効力があるのだ。

 「あの、検事さん。自分のことで申し訳ないんですが、このままでは31日締め切りの社労士試験の申し込みに間に合わなくなるんです。どうすればいいでしょうか?」と聞いたら、「誰かに差し入れしてもらって、代わりに申し込んでもらうしかない。今はそうとしか言えないねぇ」ということだった。

 

 また小部屋のベンチに戻り、連れてこられた全員が終わるまで、ただ待たされる。

 全員が新検なわけではないし、検事は途中で公判が入ったりするから、待ち時間は膨大だ。

 逮捕されると、それまで普通の日常生活をしていた人間が、突然「失踪」することになる。

 そのため、裁判所から「この人は勾留中です」という通知を出す人間を、1人だけ指定できるから、それを書けという。

 私はとりあえず、兄の名前と住所を書いた。

 ワキガはしばらく考えていたが、結局誰も書かなかった。

 

 夕方まで待たされて、裁判所。

 房から出され、各人の手錠の中央の輪に太いロープが通され、両端にいる警察官の腰につながれ、その集団を数人の警察官が監視する。階段を下りるときは右側の壁に沿って歩けと命令される。

 裁判所は検察庁の隣にあり、検察庁の裏口から出て、裁判所の裏口までゾロゾロと歩く。

  

 通されたところは法廷ではなく、テーブルとイスがあり、書記官が1人いる普通の部屋だった。

 人定質問のあと、白髪の裁判官(法服ではなく、背広を着ている)に、「勾留されれば、職、収入、住居と失うものが多く、逮捕容疑に比べ過酷過ぎる。私は職に就いているし、住居も安定しているし、逃亡や罪証隠滅のおそれもない。なので、勾留を許可しないでください」と述べたのだが、「それは検討してみますが、インターネットを利用した犯罪だということと、事情もいろいろあるようですし、そのへんもお聞きしなければなりませんので、勾留の必要性はかなり高いと思います」とのことだった。

 で、あっさり10日間の勾留となった。ヒドイ。

 

  


 【余白メモ】


 いびきがうるさいとまた言われた。

 明け方、枕元に92が座っていた。

 いびきのせいで眠れなかったらしい。

 申し訳ないとは思うが、自分でもどうしようもない。

 

 

                  shuushin

                      警察庁ホームページより

               (実際は右が頭になり、3~4人詰め。右窓後ろが便所。

               私がいたところは壁の幅全部がアクリル板だった。)

 

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【代用監獄とはなんですか?】

 

  

 


 平成17年5月13日(金)

 

 私も、6歳の少女を監禁している。

 ひとけのない神社に1人でいたところを、連れ去ったのだ。

 首輪をつけ、私のことは「ご主人様」と呼ばせている。

 3度逃亡されたが、いずれもすぐ連れ戻した。

 今ではすっかり、逃げ出す気力も失せたようだ。

 これがその写真だ。

 

 

                   nya

 

                           猫ですけどね。

              (不謹慎なことはよく承知しております。どうもすいません)