平成16年5月14日(金) 勾留4日目
朝方、16歳女子高生を60発殴った21歳の92番が、出て行った。
少しずつ金を借り出し、借金漬けにしたあと風俗に売ると、50~70万のバックマージンがあるという。
一応彼女の扱いで、その「彼女」が「浮気」をしたと、折檻したのだ。
女子高生は母子家庭で、仕返しを恐れた母親が、検察官に寛大な処分を願い出たそうだ。
検察庁に行き、不起訴か起訴猶予、要するに釈放(パイ)になるらしい。
午後、逮捕時の弁録書で頼んでおいた当番弁護士が来た。遅いよ。
刑事ドラマに出てくるような接見室(弁護士の場合は警察官の立会いなし)で、話すのだが、とても音がこもる。
手の震えた爺さん弁護士いわく、「インターネットを使った犯罪は検察庁も厳しくやる方針だし、あまりいい事件じゃない。実刑も十分考えられる」とのこと。
「じゃあじゃあ、帰りますわ」と言って、5分程度で帰っていった。
当番弁護士制度というのは、突然の逮捕に怯える被疑者を安心させる目的もあったはずだが、一体何しに来たのだろう。
私は余計不安になった。
調べ出場するとき、留置管理係長に「○○!」と呼ばれたが聞き流してしまい、「○○、 お前は○○だな?」と言われ、ようやく自分のことだと気がついた。
111番と呼ばれるのに慣れ、自分が○○○○という個人であることを、忘れつつあった。
千と千尋になった気分。
用向き。さっきの当番弁護士に、「△△という法律事務所に連絡を取ってほしい。そこの○○先生は知り合いだが、先日熊本で開業してしまった。だからその事務所のほかの先生を」と頼んだのだが、「××にその名前の弁護士はいない」と、さっきの弁護士から留置管理課に連絡があったのだという。
だから! その先生は今、熊本にいるんだよ!
その後調べあり。ケータイを任意提出させられた。
会社の上司○○さんの電話番号を教えた。
ついでに送信トレイにあった、好きな女の子に書きかけのメールを、刑事の目を盗んで送信した。
家のカギも任提(断れる雰囲気ではない。ほとんど押収)。
兄立会いのもと、明日の土曜日にガサ入れをやるのだという。
ついでに刑事さんが兄に手紙を渡してくれるというので、兄宛ての手紙を書いた。
「社労士の受験申し込みを代わりにしてほしい」、「使い捨てコンタクトの替えを差し入れてほしい」、「パンツの替えを持ってきてほしい」。
警察庁ホームページより
弁護人と面会中の被留置者(模擬)
【過去の過ちを振り返って】
接見室(=面会室)には窓がないので、声がこもる。
中央の丸窓は、タバコや紙片等のやり取りを防ぐため2枚重ねられていて、穴部分が互い違いに重ねられているため、実際にはふさがれているのと同じだ。
よく聞き取れないし、すごく疲れる。
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女子高生を60発殴るなどというのは、もちろん悪虐非道の行為には違いない。
でもその女子高生が、派手な服装をして夜の盛り場を遊び歩くような女の子だったら、どうだろう。
同じことは、「先輩の誘いを断りきれずに、薬物に手を出してしまった男子中学生」というようなことにも言えるだろう。
その男子中学生が、髪を染めピアスを開け変形ズボンを履き、原チャリを乗り回すような子だったとしたら?
類は確実に友を呼ぶ。
一見単純だが、案外効果的な第一歩は、まずは「関わりを作らない」ことなのである。
とはいえ、年端も行かない子どもにすべてを望むのは酷だ。
自分を見失ったり、無性に反発したかったり、不良に憧れたり、家庭環境が不和だったり、いろいろな要因で、道を踏み外すことがあるかもしれない。
そこで人生を狂わせさせない重要なことが、「大人の目」だと思うのだが、どうだろう。
あまり人のことを言えた義理ではないので、このへんで。