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平成16年5月12日(水) 勾留2日目

 留置場では名前を呼ばず、番号で呼ぶ。

 65、73、92に、「いびきがうるさい」と言われた。

 ドキドキと緊張しながら、終日調べを待つが、何もなし。

 自分の置かれている状況を知りたい。警察は何をどこまで掴んでいるのか、私をどうしたいのかを知りたい。反省の情を示せば、始末書程度で済むのではないか?

 何もしていないわりには、時間が過ぎるのが早い。

 このとき私はまだ、72時間で出られる希望を捨てていなかった。

 

  

 【余白メモ】


 調べ=取調べ     タイホ ⇒ 48h ⇒ 24h ⇒ 10日 ⇒ 10日 ⇒ 起ソ便宜主義

 


 【過去の過ちを振り返って】

  

 留置場では名前を呼ばず、看守からは番号で呼ばれ、被留置者も番号で呼び合う。

 「65番さん」「73番さん」「92番さん」、こんな感じ。

 シャバに戻ってからの「くされ縁」を作らないための配慮でもあるそうだ。

 入房のとき留置管理課長から、「ここにいれば『何やって入ってきたんですか』って聞かれたりするけど、別に本当のことを話す必要はない。言うも言わないもあなたの自由」、「馬に食わせるほど前科のある人間もいる。そういう人に染まらないでほしいと願う」という話があった。


☆起訴便宜主義とは ・・・・・・ 刑事訴訟法上、逮捕から48時間以内に送検され、検察は24時間以内に裁        

                    判所に引致、容疑濃厚となれば10日間の勾留、さらに取調べ未了等の事   

                    情で10日間の勾留延長となる。

                    勾留満期23日目以内に起訴・不起訴が決定されるが、これは検事の

                    裁量となり、この裁量を起訴便宜主義という。

 

 

 

                ryuuchishitu   

             警察庁ホームページより

              留置室(被留置者は模擬) 

 

 左下に見える扉を「食器口」という。

 房とびらをいちいち開け閉めせず、ここから飲食物を入れたり、手紙の受発信や物品受け取りの指印(しいん)をしたりする。

 

 ※ 本画像の使用に問題がある場合には、当blog運営局を通じ、開設者までご連絡ください。

    即時、削除措置を講じさせていただきます。


【逮捕されたら ・・・ 刑事手続】  

 

 

 平成17年5月12日(木)

 

 今日私が My clip した記事、「証言女性に非難の手紙届く 暴行の被告、秘匿住所知る」だけれども、検察は「検察側調書の弁護側への開示によって、弁護士を通じて伝わった可能性」を指摘して、記事は「刑事訴訟法上、開示の際、住所を被告に知られないよう配慮を求めることができる」としているけれども、本当だろうか?

 

 起訴状から知った可能性が大きいと、私は思う。

 起訴された後、留置場の本人宛てに裁判所から起訴状が届くが、当然そこには被害者の住所・氏名・年齢・職業等が記載されている。事実関係に証人が記載される場合もあるだろう(申出によりいつでも読める)。

 弁護人は、裁判での情状をよくするために、「被害者と裁判所に謝罪文を書くように」という指示をすることも多い。

 当然、事件関係者に手紙を送る際には、弁護人経由で送ることを前提としているが、別に直送することを制限できる根拠はない。それを逆手に取ったのだろう。

 というか、公判を経るうちに、「逆恨み」の気持ちが高まったのかもしれないし、記事中「偽証」と言っているように、単に「事実と違う」ことを、指摘したかっただけなのかもしれない。

 

 私の日記のエピソードにも、「謝罪文を書くには書いたが、弁護人を通さず被害者に留置場から直送してしまった中国人」が登場する。

 まず、現行制度上「被告人が被害者や事件関係者の個人情報を知ることは可能だ」ということ。

 第2に、「拘置所は手紙の受発信の際には、必ず検閲をする」ということ。

 起訴状を読むことで被害者の個人情報を知ることができて、書いた手紙は当局の検閲をパスした、ということになるのだから、一概に被告のみを悪いとすることは、できないのである。

  

 ところでこの一件では、加害者は証言者に対して、報復をほのめかしてはいない。

 ただ、「偽証は残念だ」ということを書いているだけである。

 それを性急に、報復への恐怖感と結び付けてしまうのは、論理の飛躍というものだろう。

 

 では、被害者が実際に「報復」される可能性はどうだろうか?

 いわゆるお礼参りの可能性は、どんな場合であっても否定できない。

 しかし、強要・脅迫を始め、物理的な危害を加えた場合には、その罪も成立する。

 その場合、裁判での情状は相当に悪いし、次は長期間の服役になる。

 当たり前だが、お礼参りは、加害者も相当の不利益を被る。

 コストとベネフィットの関係で言えば、お礼参りは明らかに割に合わない。

 ひとつには、これがお礼参りへの、大きな抑止力となっていると考えてよい。

 

 次に、矯正教育や保護観察制度などの、周辺環境だ。

 正常な社会復帰への矯正教育は、効果のほどは別にしてなされるし、再犯防止のための制度もある。

 これも単純な報復感情への、抑止力となりうる。 

  

 私にも被害者はいる。

 被害届を出した被害者に対して、畜生め、という気持ちは否定できない。

 しかし反面、「身から出たサビ」「自業自得」という道徳的な気持ちも、当然ながらある。

 

 また勾留中の人間は、自分のことには敏感で、「求刑がどれぐらいになるか」「情状面はどうか」「次の刑期はどれぐらいか」といったことを、驚くほど気にしている。

 刑務所に行くのは嫌だし、犯罪の自覚もあるということだろう。


 こういった事情を考慮すれば、割に合わない結果を予想しながらお礼参りを実行する人間は、犯罪者の中でもごく小数の例外で、これを基準に物事を考えることはできない。

 

 それでなければ、日本中はお礼参りの被害者であふれているはずだ・・・というのが、私の結論である。

 

                                               (この項加筆訂正しました)

平成16年5月11日(火) 勾留1日目

 朝7時までの仕事を終わり、吉野家で豚丼を食った。その後コーヒーショップで前回の答練の復習をした(労基法)。

 8:30になるのを待ち、電車に乗って自宅のある駅に向かい、ほど近い床屋で髪を切った。

 コンビニで昼飯を買って家に帰り、風呂に入ってシャワーを浴びた。

 寝酒の缶チューハイを飲みながら北村庄吾のサイトを冷やかし、メールチェックをして、さあ寝ようかなとトイレに立ったときに、玄関のチャイムが鳴った。

 

 「はい、なんでしょう?」

 「ケーサツですが」

 「はい?」

 「警察ですが」

 

 いったい何だろう? とドアを開けると、2人の男が立っていて、バタバタと玄関先を見回したあと、身分証を提示された。1人は、「○○県警」と書かれた小さめの段ボール箱を抱えていた。


 「○○さん? ちょっとお伺いしたいことがあるんですが、上がらせてもらっていいですか」

 「え、あの、散らかってるんで困るんですけど」

 「じゃあ、表の車の中で話しましょう。うちらだってこうやって静かに来てるんだからさ、聞いてもらわないと」


 向かいの駐車場に停められた1BOXの後部座席に乗り込むと、さらに2人の男が乗っていた。

 

 「うちら○○県警なんだけどさぁ、××のことで、なんか心当たりない? △△とか」

 「いえ。別に・・・」

 「ホント? あるんじゃないの? □□とか」

 被疑事実を告げられ、私には心当たりがあった。

 「××ですか?」

 「そう! あなたに間違いないでしょ。じゃあ、これから警察署に一緒に行ってもらいますから。着替えと、あと洗面道具持って。歯ブラシがない? いいよ、中でも買えるから。いまいくら持ってる?」

 1万7千円です、と答えると、あ、それだけあれば十分だと言った。

 今日、社労士試験を申し込むつもりで下ろした金だった。


 途中、○○警察署を通りかかったときに、「うおっ、警察だ!」と、若い刑事が叫んだ。

 やはり同業ということで、興味があるのだろうか。

 運転手の刑事が、「寒くないですか」と気遣ってくれた(のちにこの人が、捜査二課長と知る)


 警察署の取調室。

 被疑事実と逮捕状が示され、「まあ形だけだから。じゃあ逮捕します」と、刑事3人が見守るなか、私の両手首にガチガチと手錠が下ろされた。

 私は、逮捕されたのである。

 

 

【過去の過ちを振り返って】

 

 今読み返しても、血の気が引く思いだ。

 逮捕されたあとは、手錠は外してポケットにしまい、つけられた縄を腰に回され机に結び付けられる。

 担当の刑事が席をはずして、その間別の刑事が話し相手になってくれたのだが、その人はいきなり靴を脱いで、それが臭かった。まるで拷問だ。

 「心理的圧迫を加える捜査手法なんだろうか」と、本気で思った。

 逮捕されて、まず取られる書類が弁録書と呼ばれる「弁解録取書」。

 逮捕されての被疑者の第一声を記録する書類なのだが、なにぶん「弁解」である。

 まるで言い訳を書き留められているようで、抵抗があったが、私は「1.逮捕事実に間違いありません

2.当番弁護士を呼んでください」と「弁解」した。

 手錠は片手でガチャリと掛けるのではなく、両手でカチカチと掛ける。

 「ガチャって掛けないんですか」と聞いたら、「そんなことやらないよ、痛いし。やってみる?」とのことだった。

 

 

               ps

                    (勾留された警察署全景)


 

 鑑識の人が来て、それ用の小部屋に行き、写真撮影と指紋を取られた。

 そのあと、留置場の入り口にある小部屋で、身体検査。パンツ一丁(パンツは金属探知機で調べる)。

 持病はあるかだの武道の心得はあるかだの、そんなことを聞かれた。

 「あなたは逮捕され、勾留されることになる。我々に刃向かったり、殴りかかったりすれば、それだけ勾留が長引くことになる。十分注意するように」という貼り紙があった。

 服を着て腰縄手錠、毛布を渡される(敷いたり、掛けたり、枕にしたりする)。


 6時半に留置場に入り、前かがみでひざから入房すると、3人いて、晩飯を終わった直後らしかった。

 50代くらいのおじさんに、「じゃあ、メシ食っちゃってください」と勧められ、仕出し弁当の晩飯を全部食った。

 「初めてパクられると1週間ぐらい飯が喉を通らない」と言っていたが、私の場合は平気だった。

 若い男が、「何やったんですか」とうるさい。

 もう1人は、中国人のようだ。

 食べ終わって横になると、すぐに睡魔が襲ってきた。何しろ前日は寝ていない。


 8時ごろから房ごとに順番に出され、歯磨き。就寝前点呼があり、午後9時、消灯。

 右も左もわからない。とりあえず、よく眠れた。

 

 【「代用監獄」とは何ですか? 】

知ってください 『当番弁護士』

いよいよ明日、逮捕。

 明日わたしが逮捕されることは、さきに公開したとおりである。


 なんの自慢にもならないことは、重々承知しているが、しかしながらわたしは、「中」で、非常に得がたい経験をした。そこにあるのは、立場こそ違えど、生ぐさく、血生ぐさく、泥臭く、愚鈍にのたうち、うごめき、息づく、人間の姿である。

 

 あなたがこうしている瞬間にも、全国の留置場や拘置所、刑務所に入っている人間がいる。

 また警察官、検察官、裁判官、弁護士、刑務官、保護観察官といった人々は、忠実にその職務をまっとうしている。


 「中はこうなっています」式に、留置場を紹介した本は、今までにもあった。

 しかし日記形式で日々を綴り、情景を描写し、心中を書き留めたものは、インターネット上にもかつてなかったと思う。

 

 わたしは何かを提起したいわけではないし、論ずるつもりもない。

 このblogが、皆さんの好奇心の糧となってくれれば、それで幸いである。


 わたしはこのblogで、日記を忠実に再現した。よってこの日記の読者は、同じ体感時間でもって留置場生活を、追体験できるだろう。

 しかしながらプライバシーについては、登場する本人たちの社会復帰の妨げとなることがないよう、十分な配慮をした。よって本文中では特に触れていないが、被留置者の身分事項については、意図的に改変を加えた可能性がある。その点はご了承いただきたい。

 ちなみに私はこのGWを、ぶっ通しでこの日記の転記に充てた。

 その甲斐もあって、結末までの全ての日記を打ち込み済み、それらは自動公開機能により、1日も欠かさず、更新されていく。

  

 この日記は、いずれ終わる。

 どのような形で終わるのかは、日を追って読み進めていくうちに、おのずから明らかになる。それまでの間、存分に楽しんでいただきたいと思う。

見つからない。

 卒業証書が見つからない。

 まいったなー。

 んま、まだ時間はあるので、ゆっくり申し込めばいい。

きゅーかんばあ。

 先日スーパーに行ったら、理由は分からないが、ナスとキュウリが安かった。

 長ナスが7~8本入って80円、キュウリも10本ぐらい入って80円だった。

 勢い余って2袋ずつ買ってしまい、そんなわけで、ナスとキュウリばかり食べている。

 まるでコオロギだ。

 後で、ナスのあぶらみそを作る。味噌がないので、買いに行く。

受験票を書いた。

 今日は証明写真を撮って、規定の大きさに切って貼り(いちばん近い大きさが宅建用、5×5cmだった)、受験票を書いた。

 あとでコンビニに卒業証書のコピーを取りに行く。

 前回は卒業証明書だったが、失くしたので、郵送で請求するのが面倒くさい。

 

受験料払い込み。

 今日、郵便局で平成17年度社会保険労務士試験の受験料を払い込んできた。

 9,000円は痛い。

この日記を書いたわけ。

 もう何年にもなりますが、バイク事故で大怪我したことがあります。

 何度も手術して、かなりの期間入院しました。

 事故直後は心臓も止まっていたそうで、寸手のところで命拾いしたわけでした。

 

 若いながらも、いろいろなことを考えたものです。

 命のこととか、人生のこととか。

 

 若かったから、考えざるを得なかったこともあります。

 寂しい気持ちや、苦しい気持ち、愛とか恋とか。

 

 ところが、喉もと過ぎればなんとやらで、数年が経つうちに、あれほど必死に考えた物事が、思い出せなくなっていたのです。

 貴重な経験だったのに、それが思い出せないことは、本当に残念でした。

 

 だから今回は、日記をつけることにしたのです。

 何年経っても、何十年経っても、馬鹿な自分の過ちを忘れないで、いつでもリアルに思い出せるように。

  

 本当に本当に、何の自慢にもならないことですが、

 よろしければ、最後までお付き合い願えれば幸いです。

                         

                                                    筆者

5月11日から公開します

                    

               


 逮捕去年の5月11日でしたので、その日から「監獄☆日記 ブログ版」を毎日更新お届けいたします。 乞うご期待!!

 

         中身

                      原文。                                                                         

 

                                                                     

☆この日記の読み方(例)                                                    


平成16年5月11日(火) 勾留1日目


    その日の留置場日記

 


 【余白メモ】


日記の余白にメモがあった場合

 

 【過去の過ちを振り返って】


 1年前を振り返っての感想

 


 平成17年5月11日(水)                                                                 

 

   本日の日記、雑感。

 

 

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