ビッグダディⅢ(3)
今日の新聞に、ビッグダディを観ての感想が2つ載っていた。
◆父親を見て育つ (静岡県・主婦・51歳)
9月25日の「4男4女9人大家族 ”痛快ビッグダディ”」(朝日)は、男手ひとつで8人の子供を育ててきたビッグダディの筋の通った威厳と行動力と心根の優しさがあった。
子供たちが協力し合い、素直でしっかりした考えを持っているのは尊敬できる父親を見て学び成長してきたからだろう。
元妻に復縁を望まれても頑として拒む父。母親に会えて喜びいっぱいの子供たちが両親を気遣い接する様子に感心した。
◆ビッグダディとは (埼玉県・主婦・48歳)
「4男4女9人大家族 ”痛快ビッグダディ”」は考えさせられる内容だった。元妻が新たに3人の子供を連れて戻ってきた時、父親・清志さんはどうしたか。
復縁することはなかったけれど、元妻のためにキャンプを催したり、アパートを折半で借りたり、まさに”ビッグダディ”そのものだった。
母親と3人の妹たちを見送るときに泣き出した4男の優しさも心に残った。新しい門出に幸多きことを祈る。
ま、最初の投稿には私も同感だけれど、2つめに関しては微妙である。
もともと同じ両親から生まれた妹がすでにいるわけだし、そこにある程度成長した(父親の違う)女の子たちが来れば、その子と自分との関係性を納得するまでには、さらにもう少し時間が必要だろう。
その三つ子を、安易に「妹たち」と呼ぶのは、大人のご都合主義と傲慢である。
それに、元妻が作ったしょうが焼きを食べて、三男は「ここ(三つ子の1人)達のお母さんの料理おいしいですね」と言った。料理を作った人は自分の母親ではなく、三つ子のお母さんという認識なのだ。
たとえ実の母親という認識であったとしても、夫と子供たちを置いて出て行った人を、苦労した張本人であるビッグダディの前で即座に「お母さん」と呼ぶことは憚られる。
そのことについて最初の投稿者が「両親を気遣い接する様子」と書いたのなら、この投稿者は慧眼である。
キャンプを催した意味はよくわからないが、確実に言えることは「元妻のためではない」ということだ。
「お金があればもっと違った時間の使い方をするんだけどな」と言っていたから、おそらく三つ子を含めた子供たちと自分自身の「レジャーのため」だ。
アパートを折半で借りたのだって、「元妻のため」にそこまでしてやる義理はない。
大ざっぱに言えば、三つ子と自分の子供たちのためだろう。
ただそこまでしてしまうのは、やっぱりビッグダディの人のよさなんだろうなぁ…。
突堤でビッグダディは「もともとがこういう人間なもんでここには落ち着く」と言っていた。
「こういう人間」とはおそらく、「人との深い交流が好きで、それが性に合う」ということだ。
だからこそ「大家族」を好むのだろうが、ビッグダディの秀でているところは、その反面の「面倒見のよさ」がしっかりと同居しているところだ。
面倒見の悪い人間が生むだけ生んで面倒を見ないと、どこかの家族のようになるのである。