平成16年6月9日(水) 勾留30日目 | ||Φ|(T|T|)|Φ||    監獄☆日記    ||Φ|(T|T|)|Φ||

平成16年6月9日(水) 勾留30日目

 今日は健康診断の日だ。

 私は、ジルテックの代わりに処方されたアレジオンの効きが悪いこと、ムコダインを継続してほしいことを申し出た。

 他に処方を願い出た薬は、ドグマチール・マイスリー・フラビタンorシナール、ミヤBM錠orラックビーである。


 私の尊敬する現代の錬金術師北村庄吾は、知識をカネに変える、違う、「知識を知恵に変える」と言った。

 

 私は自身がかなり長い入院をしていたことがあるし、病院に勤めていたこともあるので、薬についてはかなりの種類を知っている。しかし、これはただの「知識」だ。

 これを、どうすれば「知恵」に変えることができるだろうか。

 効能面で私は、「ここで健康と体調を維持するため」と、「留置場生活をしやすくするため」に、薬をチョイスした。


 ここには他に30人超の被留置者がいるが、そういう芸当ができる人間は、私のほかにまずいないだろう。


 留置場も取調べも拘禁も、私にとって、まったくの未知の世界だ。

 そして味方も信じられるものも、文字通り、自分しかいない。

 私は私の知識と経験と本能をフルドライブさせ、毎日をサヴァイヴしている。

 

 私の知識は、知恵に変わっているだろうか。

 


 

 【過去の過ちを振り返って】

 

 留置場段階では薬をもらうことができるが、拘置所では医官の診察を受けさせてはもらえるものの、投薬はかなり厳しいとのことだ。

 今年の判決で、10年来飲み続けていた抗うつ薬を、拘置所で一方的に中止されたことにより症状が憎悪し、房内に雑巾を持ち込んで隠し、それを飲み込んで自殺した被拘置者に対し、「抗うつ薬の突然の中止は誤りであった」「房内に持ち込んだ雑巾を発見できなかったのは過失であった」として、遺族に国賠を命じたものがあったはずである。

 

 男に聞いた話で、拘置所での医官とのやり取り。

 「どっかわりいとこあんのか、おお? 言ってみろ」

 「胸糞がわりいな、胸糞に効く薬くれ」

 「ほかにわりいとこねえのか、おお?」

 「お前の根性がわりいな、お前の根性に効く薬くれ」

  

 仮に「医師免許」という国家資格を持つ人間が、こういう口を利いていいのかと呆れていた。

 

 

 【拘置所での肛門検査】

 

 収監時、腸内に物を隠していないかどうかを調べるために、全裸で肛門検査がある。

 4列に並ばされ、刑務官の「うしろむけー! ケツひらけー!」の号令で、尻を開いて肛門を見せる。

 そこに刑務官が、ガラス棒を差し込んでゆく。 

 「ヒャッとするんですよね、ヒャッと!」と、経験者が言っていた。


 

 【現代の錬金術師 北村庄吾】

 

 ボーナスをゴニョゴニョして健康保険料をムニャムニャするツールを開発したり、企業に確定拠出型年金制度を導入したり、ファイナンシャルプランナーだったり、予備校講師だったり、週刊誌を売ったり、年金問題の一般書を書いたり、とにかく話題に事欠かないスーパー社労士。

 最近ではテレビによく出ているので、知っている人も多いだろう。

 行く先々で金脈を探し当て、掘り当てる才能とセンスは、神がかり的と言っても過言ではない。