平成16年6月4日(金) 勾留25日目
男に質問をした。
「私はシャバでいろいろとやりかけのことがあったんですが、それが突然の逮捕でぶち切られてしまったことが、多々あるんです。そういうのって、出てからすぐまたつながるもんですかね?」。
答えはこうだった。
「人それぞれだから、一般的には、言えない。あえて言えば、『あとは野となれ』だ。絶対につながらないモンもあれば、すぐつながるモンもある」。
「たら、れば、を考えないことだ。次に活かせりゃいいが、そうじゃなけりゃ、時間とエネルギーの無駄遣いだ」。
「あとは野となれ」という言葉は、ゾッとすると同時に、ここでは、これ以上はないというほどの至言だ。
私も、他の人間も、それなりに社会生活を営み、その中には会社があり、家庭があり、会社の人間関係があり、私的な人間関係があり、給料を受け取り、公共料金を支払い、家賃を納め、食事をし、掃除をして、恋愛などもしてきた。
これらを全部内側にくるんだ「流れ」があり、それは確かに流れていたが、逮捕によりそれは急激にぶった切られた。
そしてそれが法律により強力な強制力を持っている以上、我々はここや刑務所に押し込められ、しかるべき時が来るまでは、それが何年、何十年先になろうが、出られないのである。
我々は、「生活の切れはし」を警察署の外に置いてきている。
もう我々には関与できないその切れはしが、「野となり山となる」のである。
例えば好きな人に自分の存在を忘れられてしまうようなことが、怖い。
運動の時間、特定商取引法違反に、公共料金はどうなっているのかと聞いた。
自動引き落としにしてあるので、そっちはたぶん大丈夫だと言っていた。ただ、TSUTAYAで借りっぱなしになっているDVDがあるらしい。実家は山梨で、簡単には親も面会に来られないのだという。
内縁の妻を空手チョップで失明寸前に追い込んだ42歳傷害犯は、10日で早々と起訴された。
ヤクザは検事調べ、保険金詐欺は刑事調べ、男は病院(足に怪我を負っているようだ)で、私は期せずして、房に1人になった。
少し落ち着かない。
私は、孤独を愛する淋しがり屋なのだ。
【余白メモ】
私はコンビニ払いだ。
坊主頭にはしない誓い → 起訴後は坊主にできる
かし食いすぎた
【過去の過ちを振り返って】
この日特定商取引法違反と、「カッコ悪いから、坊主にするのはやめようね」と誓い合ったのだった。
私は生まれてから一度も、坊主頭にしたことがなく、不安だったというのもある。
勾留が長引いてくると、髪が伸び、鬱陶しくて、不衛生でどうしようもない。
5日に1度の入浴では、髪は油分でベトベトのバサバサだ。
起訴後は、「不衛生なので自分の意思で坊主にします(むりやりやられたのではありません)」と一筆書いて、看守がバリカンで坊主に刈ってくれる。
5人以上集まれば、外部から床屋を呼べる規定もあるそうだが(1人5,000円だとか)、留置場内では刃物類が使えないから床屋もバリカンでやることになるため、嫌がって来たがらないのだそうだ。
【 昨日の超絶アクセスのわけ 】
「まぐまぐ」で、「監獄☆日記」 メール版 を始めたからです。
メルマガ版には、ブログ版とは少し違うことも書いています。
ID 0000158986 です。
ご興味のある方は、併せてお読み下さい。