平成16年6月5日(土) 勾留26日目
朝飯のおかず、煮付け(がんもどき、高野豆腐、こんにゃく)、タクアン、こんぶつくだに少々、のり。
昼飯のおかず、アジフライ、マカロニ、小松菜煮びたし、カレー、ミックスベジタブル。
晩飯のおかず、お好み焼き(小)、焼きビーフンケチャップ味、揚げギョーザ1個、いんげんソテー。
こうして並べれば一見豪華そうだが、なんのことはない、ただの仕出し弁当だ。
ごはんもおかずも冷え切っているし、量も少ない。
しかしこれももとはと言えば、すべて自分が招いたこと…。
感謝していただいている。
保険金詐欺は、トイレットペーパーを作るのが好きだ。
各房には、「花の山」というブランドの、正方形のいわゆる「ちり紙」が、ひとつかみ渡される。それを2枚重ねて2つに折れば、トイレ用となる。それを保険金詐欺は、よく作っているのだ。
足りなくなればもらうのだが、それは私の役目だ。「ちり紙くださーい」と看守台に向かって叫べば、看守が持ってきてくれる。
保険金詐欺は、昨日の取調べに憤慨している。
ウソの供述をした共犯の言い分を真に受けた刑事から、やっていないことまで認めろと迫られ、「認めれば捜査を終わりにしてやる」と、半ば脅されているのだ。
「絶対に起訴しないから」とも言われたそうだが、「バカヤロー、てめえらの言うことなんか信用できるか!」と、啖呵を切ってきたという。
課長の名前で一筆書いたら信じてもいい、と持ちかけると、「それはできない」とのことだったらしい。
「ウソつきは警察官のはじまり」は、保険金詐欺の名言だ。
監獄の週末には、何もすることがない。
面会もできなければ、手紙の受発信もできない。
定員3人の房に4人が押し込まれ、身動きすらままならず、ストレスとイライラはピークだ。
おやつの時間、男が他の3人に、菓子を1袋ずつくれた。来てすぐ、彼におやつがまだなかったときに、皆で分け与えたことがあったのだ。
「こういうところでは、モノが大事だからね」と、かなり義理堅い。
少し口を利くようになり、証拠書類不同意の話をしてくれた。
【余白メモ】
仕出し弁当だけで、よく生きているものだと思う。